ここのお話は先日手に入れた、そこそこ枯れたアルダーストラトのお話です。
根本的なアルダーとアッシュのお話は、最初の「資料 その1:アルダーとアッシュボディ」をご覧ください。

■先ずはアルダーボディの音のイメージのおさらい。
・音域が狭い (低域と高域が弱い)
・中域の倍音に特徴がある
・甘い音 (材の反応速度がアッシュやメイプルより遅いのでアタッキーではなく、どちらかと言うともっさり聞こえる)

ストラトに限らず、こんな感じ。
アッシュより音域が狭くて、マホガニーよりはあっさりしてる。メイプルみたいにアタッキーではなく、ジャンルを選ばず扱いやすい音。
でもマホガニー程ではないが、枯れて来ると粘る。これがシングルコイルのハーフトーンで気持ちいい♪
アッシュのストラトの音に慣れちゃったせいもあるが、今回久々のアルダー個体を弾いて正直戸惑った。
うちのもう1本のアルダーとも違い、中低域が豊かで高域が弱目。やべー、ハズレなのか?とも思っちゃったからだ。

◆枯れた音

良く耳にしますよね。色んな意味があるけど、単純に乾燥した材は鳴りが良くなるので音が抜ける。
あと、線が細くなるってか、ブライトになる。
まぁ、大体はそんなイメージ。レスポールなどのマホガニーが枯れると、ぶりんぶりん粘るw 中域もすっきりしてなんか良い音に感じるw
所謂ビンテージサウンドってやつ。
ストラトはアルダーかアッシュなので枯れるとパリンパリンな音になる。ちょっと違うな、詳しく言うと、、

・アルダーはジャリンジャリン or チャリンチャリン
・アッシュはパリンパリン
・おまけで、メイプルはパコンパコンw

という感じ。とこが今回中古で手に入れたアルダーはちょっと違ったのですよ...
うちの84年製のアッシュのストラト君はもう枯れ過ぎて、パリンパリン過ぎるのに鳴るんで、耳が痛いです。
うちの89年製のアルダーの銀スト君も枯れて、線が細くなってるのに鳴るんで、耳が痛いです。

で、今回2001年製のアルダーなのだが、粘るし鳴るんだけど、線が細くならず、しっかりした音が出る。
19年も経ってれば枯れてるハズなんだが、いや、粘りもあるし良く鳴ってるんで枯れてるとは思うんだが、チャリンチャリンしない。
気持ちいいザクザク感と、粘る中低音、アルダーならではの中域の倍音、とても良い音がする。
だがしかし、マーシャルのセッティングは弄らず弾き比べると、明らかに違う。むむっ?って感じ。
おいらの中ではアルダーがストラトの音で、アッシュが邪道なイメージだったのに、このアルダーは邪道に感じる。
いつものアンプのセッティングでハーフトーン特有のシルキーな高音がしないので焦った!

で、散々弾いてみてわかって来たんだが、どうやらこの個体は高域が弱いようで (いや、中域が強いので。かな?) 、アンプで少しトレブルを持ち上げると耳慣れたストラトの音になった!良かったっ!(ハズレぢゃないぞっ!)
アッシュは中域はスッキリしていて低音が出るんだが、このアルダーは低域は出てないんだけど、低域寄りの中域がもりもりしていることが分かった。だから高域も控え目に聞こえる。悪く言えば抜けないんだが、良く言うと線が細くならずしっかりとした出音に感じる。
話を戻すと、今回のこのストラトは渋谷のカスタムギターの「Addictone」さんが弄った個体ということ。

■モディファイ内容は、
【ネック裏サテン処理 / クロスワイヤー化 / リフレット(ミディアムジャンボ)/ サークルDコンデンサ / ミドルトーン】

という事しかわからん。でもジョイントのプレートも変わってるし、ネックもグレード上がってるように見えるし、詳細は不明。
つまり、純粋なフェンダーMEXではない。しかし、Addictoneさんが下手こくとも思えない。
ということで、これはこれで正解なのか?と思うことにした。笑
うちの他の3本のストラトと比べると違和感はあるか、こいつ単体では「鳴る良いギター」だと思う。
違和感と言うのは、前に「アッシュは繊細なストラトの音はしない」とも書いたが、今回はアッシュの方が繊細に感じちゃったから。

Addictoneさんとこのお客さんはスタジオミュージシャンも多いらしいので、ジャンルを選ばない使える出音 (ビンテージっぽくしない痩せない音) に振った可能性はあると思う。憶測だけどねw
ま、お気に入りのアッシュより、何にでも使えるのは実はこっちなのかもしれない。

しかい面白い。エレキと言えど、同じ材で組んでも同じ音がしない。もちろんピックアップの違いもあるが、その前にネックと指板とボディー材だと思っている。これだからオーダーメイドは躊躇しちゃう。博打だからね。試奏できて気に入ったギターを選ぶ方が失敗しないからね。
ま、なんだかんだ書いても聴いた方が早いよねw ということで聴き比べです。
アンプから聞こえる出音は違いがハッキリわかるんだけど、録音したらよーく聞かないと分からなくなっちゃった。笑
(違いが分からない場合は、途中で止めてゆっくり5つ数えてからもう一つの方を聴くといいかもです。)
で、これらの気持ちいいザクザク感はマーシャルアンプのせいで、フェンダーツインとかだともっと張ったキンキンな音になりますね。

■使用機材
・2012 Fender MEX 70's ストラト / アッシュボディ、ローズ指板
・2001 Fender MEX 60's ストラト modify / アルダーボディ、ローズ指板
・アンプ:Marshall JVM 205C (アンプ直)
その1:リア+センターハーフトーン Vol=7.5
・70's ST / アッシュ
・60's ST / アルダー

その2:フロント+センターハーフトーン Vol=7.5
・70's ST / アッシュ
・60's ST / アルダー

その3:フロント+センターハーフトーン Vol=5
・70's ST / アッシュ
・60's ST / アルダー

その4:リア+センターハーフトーン Vol=8
・70's ST / アッシュ
・60's ST / アルダー
以上ざっくりまとめると、

■アッシュは中域がスッキリしていて低・高域が出るので音域が広く感じ、ダイナミックな印象になる。でも特有のパリンパリンになるところで好き嫌いが分かれそう。

■このアルダーは中低域がかなり豊か。音域は狭く聞こえるが、線は細くならない。
実はアンプでもう少しトレブルを上げてやると中域のもーもー感も薄れ、音域も広がってもっと抜ける音に変わる。

とまぁ、同じストラトでもボディ材の違いでキャラも変わるということですねぇ。
もちろんピックアップやアンプのセッティングでも音色は変わるけど、基本的な材の傾向は継承しますね。
同じアルダーやアッシュ同士でも個体差はあるけど、上記の特徴はほぼ一緒です。
あと、今回は触れないけど、ネックがメイプル指板かローズ指板か、エボニー指板 (ストラトではほぼ見かけない) とかでアタックが大きく変わります。

以前から書いてるけど、自分の好きな曲の、そのギターの仕様を調べてみると良いかも。ま、本人が弄り倒してたら追えないですけどねw

ちょ、ちょっと待ったー!!

待って待って、このネック、経年劣化で日焼けして色濃いなーなんて思ってたんだけど...
フレット打ち換えてあって、ネックをサテン処理にしてると... Addictoneさんで。
で、もしかしてだけど、ローストしてるとか?あり得そうだな... だとしたらこの、ミッドの盛り上がった角の丸い?音色も納得がいくよね。
ローズ指板がエボニーか?ってくらい濃いんだけど、これは音色的にエボニーではないね。この濃さもきになる。
というわけで、勝手にロースト認定しちゃおう!w であればこの個体の説明が全部つく!笑
ま、直接Addictoneさんに聞けばいいんだけどね、ま、いっか!これはこういうキャラってことで使っていこう!

◆後述
ローステッドは木材からでないと無理っぽいですね。ネックになっちゃってからでは出来ないっぽいです。
どう反るか捻じれるか分からないかららしいですね。にしてこのネック、も色が濃すぎるんですけども。。

■ローステッドメイプルって?
無酸素で一気に高温で焼くってか、乾燥させて木材の強度を得る加工法。これによりネックの強度は増して反りに強くなると。
音色はどうなんだろうね、一般的には角の取れた鳴る音とされる。程度の良いオールドは経年劣化でカラカラに乾燥されてこの状態になっているというわけで、その状態を作り出す技術ってことで良いのかな?
つまり、おいらが長年ストラトで憧れて妄想している「ブーミー」な音という抽象的なニュアンスがこれに当たるのかも。
なんか棚ぼただけど、確かにブーミーだぞこれ?やったー!!ってことでこの話は終わりにしよう。笑
ギターの半分を占めるネックだけに、その違いも顕著に出音に現れるんですなぁ、本当に奥深い... まさに沼!
今更ながら、「ストラト底なし沼へようこそ!」って感じですねww やれやれ。

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