ハムバッカーを語る上で避けては通れないのが P.A.F ( パフ ) って名前のピックアップ。
話すと長いんだけど、ちょっとつき合ってね。
先ず、面白いのは『ギブソン = ハムバッカー』のイメージだけど、シングルコイルの基本構造を作ったのはギブソンだった。
1930年代後半、ギブソンはフルアコなどにこのシングルコイルを搭載して発売していた。
1940年後半には、フェンダーがシングルコイルを開発。
1950年にテレキャスの前のブロードキャスターに搭載後、初めてソリッドボディのエレキギターが登場した。
遅れをとったギブソンは、52年に初のソリッドボディのエレキギター、レス・ポールを誕生させる。
でもここではまだハムバッカーは存在していない。いわゆる太い音がするが立派なシングルコイルの P-90 だったわけ。
その後、後からシングルコイルを開発したフェンダーが、磁極を逆にしたシングルコイルを二つ並べるとノイズを打ち消すこと ( ハムキャンセル効果 ) を発見したんだね。それを知ったセス・ラヴァーって人が、これをひとつのピックアップにしてハムバッカーを完成させ、ギブソンがものにしたってことらしい。(経緯は不明)
やっとこレス・ポールにハムバッカーが初めて搭載されたのが57年、お待たせしました!ここでやっと P.A.F の出番!
当時このハムキャンセル効果を持つ初のハムバッカー P490 には、Patent Applied For = 特許出願中 とシールが貼ってあった。
これらの頭文字を取って P.A.F って呼ばれた。
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ... つまり『ロック = レスポール = P.A.F』ってイメージが世界中に広まった。
それからは伝説となって受け継がれ、『本物の音』の象徴になったわけ。
当時の技術、工場などの体制で音や出力にバラつきがあったのも事実。だからもし当時の状態の良い P.A.F が出て来たら数十万って世界にまでなっちゃった。だからピックアップメーカーは必ず P.A.F のレプリカ を作っていて、うちのが本物の、あの伝説の P.A.F の音です!ってやってるんだね。
笑っちゃうのがギブソン本家が P.A.F のレプリカ作ってるってーのに、それは違う!って他社がね... (^_^;)
いわゆるヴィンテージ系ピックアップは高価過ぎて、気ままに交換できないから簡単に比べられないしね、どれが本物かってのもまず本物を持ってないし、弾いたこともないしね。
まあそんなわけで、P.A.F は現在でもひとつの当時への憧れのサウンドの象徴になっているわけだ。
その辺のうんちくを知ってヴィンテージ系に走るも良し、ハイゲインのメタル系や、ノイズレスでエフェクト乗りの良い電池を使うアクティブ系、もう現代の選択肢はよりどりみどり!
色んなメーカーのがひとつ1万くらいからあるので、色々試して自分だけのお気に入りを探すのも人生さっ!←沼だけどね♪ww
ほんのごく一部をご紹介。
ピックアップの殆どは「ネック用・n」「ブリッジ用・b」って分かれているので買う時にはちゃんと確かめてね!
また、フロイドローズの場合は、F ピッチっていう専用の型でないとダメ。これも注意!
更に、ピックアップから出てる線は2芯と4芯があって、もしコイルタップでシングルでも使いたい場合は4芯でないとダメなのでこれも注意。
まずは本家のギブソン。あんまり他社がヴィンテージ P.A.F って騒ぐから、重い腰を上げて本家がレプリカを作ったってわけ。
自分たちであの伝説の P.A.F を完全な形で再現しました!って、HISTORIC COLLECTION に搭載されている名機。
※ニッケルやゴールドカバー、カバー無しの黒やクリームもモノによってはある。
Gibson
'57 CLASSIC
パワーはあえて抑え目でそのドライヴ感こそがこのピックアップの味といえる。
昔ヒスコレの金レス買った時においらもどーかと思ったんだけど、でも結局はこれに戻る気がしたピックアップ。
バランス良くできている。って、ようはギブソンの音なんだけどね。
クローム、金メッキ、カバー無しがある。
Gibson
BURST BUCKER
伝説の P.A.F を完全な形で再現したこのバーストバッカー。
そのウォームで甘いトーンは Gibson ならではのサウンド。スタイルによって3タイプのトーンパターンを用意。
TYPE1:アウトプットは抑え気味でクリーンさと歯切れの良さに長けている。
TYPE2:標準的なスペックでフロント・リアのポジションを選ばないオールマイティなタイプ。
TYPE3:高めのアウトプットで図太いトーンが特徴。
Gibson
BurstBucker Pro
50's、60's レスポール・スタンダードに搭載している BurstBucker V が BurstBucker Pro として遂に単体発売。
オリジナルの P.A.F 同様にターン数を均一にせず、特有のエッジ感のあるトーンを実現。
Alnico V マグネットを使用して、ヴィンテージ P.A.F のサウンドのニュアンスを残しつつ、より粘りとパワー感のあるトーンと、ポッティング処理によるハウリングの無い大音量でのリアルなヴィンテージサウンドを生み出す。
※ポッティングはハウリング防止の目的でピックアップごとロウ浸けする方法。
常に時代の音を作ってきたピックアップメーカの老舗。
Ibanez のイメージが強い?でもギブソンでも採用してる機種もある。お値段は1万ちょいとお手頃。
ちょっとコンプのかかったような?音が特徴。←いや、悪くはないよ!
※黒の他、モノによってはクリームやゼブラもある。
※型番に「F」がついているものは、フェンダーやフロイドローズタイプの幅広の弦間に対応したモデル。
※また、ディマジオのハムバッカーは殆どが4芯仕様になっている。(コイルタップできるようにね。)
DiMarzio
Super Distortion / DP100
これはディマジオのデビュー作であり、ギターサウンドにバリエーションをもたらす、リプレイスメント・ピックアップという市場をも創りだした革命的なピックアップ。
弦のパワーを余すことなくアンプへと送り、ヘヴィーなオーバードライヴと驚くべきロングサスティーンを生む。
重厚な低音域は発売当初から称賛を持って迎えられ、多くの有名ハードロックギタリストのパートナーとしてアルバムにその名をクレジットされてきた。
まさに、ACE のレスポールは全部コレだね。(色はクリームだけど。)
なんたって70年代後半、レスポールにはスーパーディストーション、これ当たり前!みたいに流行った。良く歪むロングサスティーンが特徴。
DiMarzio
DP223 / PAF 36th Anniversary Bridge
1950年代のハムバッカーには、ネック用/ブリッジ用という区別は特になく、それぞれのピックアップはどちらかのポジションに適したパフォーマンスを発揮するものだった。
オールドのピックアップの中にはワイヤーを大量に巻かれたコイルもあり、よりパワフルで温かみのあるトーンが特徴のピックアップも存在した。
DiMarzio では、ベストなヴィンテージ・ハムバッカー特有のプレゼンスやオープン・サウンドを損なうことなく、また前述のクオリティーをそっくりそのまま復元する新しいテクノロジー を採用し、PAF 36th Anniversary よりもホットなバージョンとなる、PAF 36th Anniversary Bridge を完成させた。
DiMarzio
Crunch Lab Black DP228
1980年代後期からプログレッシヴ・メタルのジャンルを牽引してきたジョン・ペトルーシは、長年に渡りディマジオ・ピックアップを使用している。
CrunchLab は彼とのコラボレーションによって誕生した最新モデル。
ドリームシアターの10枚目のアルバム Black Clouds & Silver Linings の制作からこのピックアップを使用しており、このピックアップは彼が今までライヴやレコーディングで使用してきたピックアップの中で最高の出来と評価している。
濁りのないビッグでタイトなサウンド。
改造ったらセイモア・ダンカン。先のディマジオと人気を二分している老舗中の老舗。
サウンドはディマジオよりも癖が無く、あらゆるメーカーが採用してきた。お値段も1万ちょいとお手頃。
※黒の他、モノによってはクリームやゼブラ、金属カバーのもある。
※セイモア・ダンカンは最初から4芯じゃないもの、F ピッチがないものもあるので、ちゃんと確認して買おう!
Seymour Duncan
SH-1 / 59 Model (2芯)
ハムバッカーを世に送り出したセス・ラバーが使用したものと全く同じエナメル・ワイヤー、ニッケル・プレートのスタッド、バランス良く巻かれたコイルターンによって作られている。
見た目もサウンドもまさに '59 そのもの!(フロイドローズには TB-59b)
セス・ラバー の名前まで出しちゃう?いわゆる P.A.F のレプリカ。これも根強い人気のロングセラーモデル!
Seymour Duncan
SH-2 / Jazz Model
ジャズ系の速いパッセージなどに必要な正確でクリアなトーンを出す。
実に素直でブライトな印象。その分出力はやや低めなので、あらゆるピックアップとの相性が良いと言える。
オススメはフロントにこの JAZZ、リアには JB または CUSTOM が相性抜群。
Seymour Duncan
SH-4 / JB Model
倍音(ハーモニクス)が出やすく、サスティンとディストーションがブレンドされた高出力タイプ。
甘くウォームなトーンとストレートなロックサウンドの両種で使える。
昔からフロントに JAZZ、リアにこの JB、これはお決まりの最強タッグ。
JB とはジェームス・ブラウンの略。ウソ!w ジェフ・ベックだね!w
当時は名前を出せなかったらしく、頭文字でグレーにしていたんだとか。
トム・ホームズっておっさんの名前のヴィンテージ系ピックアップがあったんだけど、絶版なんだね。
(このピックアップを載せたギターもあったけどそれも絶版。)
何せ、おっさんがひとつずつワイヤーを手巻きしてたもんだから、ひとつ5万円!とかだった。けど評判は良かったけどね。
最近は目新しい噂は聞かないけど、以下のメーカーは王道だったり評判良かったりかなと。
EMG
SH-2 / 81 ブラック
言わずと知れたアクティブピックアップ (ギターに9V電池を内蔵する) の老舗。
81 は EMG で最も人気のあるピックアップの一つ。
セラミックマグネットとパワフルなコイルデザインにより、太いサウンドと素早いアタックを提供。
密度の高いオケの中でも抜けの良いリードトーンを出力でき、ブリッジピックアップとして好まれてきた。85 との王道の組み合わせはもちろん、60 と組み合わせての使用もおすすめ。
Lindy Fralin
Pure PAF BB SET
驚くほど個性が感じられない。特徴はクリヤーな音質と解像度の高さ。
これ以外にこのトーンを説明する言葉は見つからない。発売済みの 59STD が PAF の中でもレアーな 8K/9K の物を目指したものだが、このモデルは 7.5K/8K と少しばかり出力が低くなっている。
PAF の中ではいちばん多く見られる抵抗値とほぼ同じである。マグネットの磁力は少しばかり低いので 音の太さとロングサスティンを得る事ができる。繊細なハムバッカーを求めている方にぜひ使っていただきたい。
カラーBB(DOUBLE BLACK)2個セットでの販売。
SUHR
DSH+ Black 53mm
DSH のタイトな低域とスムースな高域はそのままにハイゲイン化したモデル。
粒立ちが良くニュアンス出しやすいサウンドキャラクターはハイゲインなディストーションサウンドから美しいクリーンサウンドまで幅広く対応できる。
この他にも気になるメーカーは沢山。
BARTOLINILUNDGRENRIO GRANDETOM ANDERSONVooDooWIZZ PICKUPS、など。
WIZZ PICKUPS てのが、またまた正真正銘 PAF だと宣言!何回繰り返されるんだ?この口上w
PAF の完全クローンを名乗る製品は数多くあれども、Wizz Premium PAF Clone 以上にオリジナル PAF を正確に再現したピックアップはまず存在しないでしょう。とのこと。
お値段は二個セットで¥56,700と、昔の一個3~5万よりは良心的。でも高い部類。
シンコー・ミュージック
ピックアップ大全~ハムバッカー・サイズ編~(CD付)
さて、こんな本がある。おいらも持ってないけど、内容的には欲しい!
プロフェッショナルな視点・観点から現行ピックアップを同一ギターに載せ替えつつ、徹底的に弾き比べ!66機種の試奏を付属CDに収録!
また、自分でもピックアップ交換ができるようになりたい!という人のために、交換の手引きや配線ヴァリエーションを紹介している他、ハムバッカー・ピックアップの歴史・ 構造、各メーカーの開発者インタビュー等を交え、ハムバッカー・サイズのピックアップをディープに掘り下げます。
ピックアップの交換はギターとの相性もあるので闇雲に交換しても思った音にはならないけど、これを期にチャレンジして自分好みのサウンドを手に入れてみてはどうだろうか。沼だけどね!w

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